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忘れ角/あの日、天然水の森で。

2003年から始まった「サントリー天然水の森」の活動。
実は、この公式note「森に、あう。」を担当している”わたし”の父もコピーライターとしてこの活動に携わらせてもらっています。そして、時々師匠と一緒に森に入っては、森の小さな小さな営みをカメラで捉え、エッセイを書いていました。
今も昔も、変わらず森には生命いのちがめぐっています。それらを、ちょっと前のエッセイから感じてみよう、というシリーズです。

「天然水の森」を歩いていると、落とし物に出会うことがあります。
年ごとに生え変わる、雄のシカの角も、そのひとつ。
森の中で、どれくらいの時を経たものでしょう。
写真の角は、ずいぶんと風化している様子がうかがえますが、4回枝分かれしているところを見ると、この角の持ち主が5歳になる時に落としたものでしょうか。

シカといえば、近年、その数が激増して、自然生態系に深刻な影響をもたらしています。ですが、シカも好き好んで、自分たちが食べるものに困るほどまでに増えているワケではないでしょう。要因として、私たち人間の、森や山との関わり方の変化が指摘されています。

シカが森に落とした角のことを、かつて人々は、「忘れ角」とも呼んだようです。どこか、大切にすべき隣人に対するかのような思いがこもった言葉に思えます。

シカが増えすぎてしまったこと。それも、人間に対する、自然からの、何らかのメッセージであることを忘れないでいたいと思います。

2014.4.3|サントリー天然水の森

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