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樹に会う:トチの実の皮をむいたのは、誰?/あの日、天然水の森で。

2003年から始まった「サントリー天然水の森」の活動。
実は、この公式note「森に、あう。」を担当している”わたし”の父もコピーライターとしてこの活動に携わらせてもらっています。そして、時々師匠と一緒に森に入っては、森の小さな小さな営みをカメラで捉え、エッセイを書いていました。
今も昔も、変わらず森には生命いのちがめぐっています。それらを、ちょっと前のエッセイから感じてみよう、というシリーズです。

2013年、秋。
「サントリー天然水の森 奥大山」では、トチの実が大豊作。
地面には、たくさんの、たくさんの、トチの実です。
いやー、すごい、すごい、と眺めていて、気付いたことがありました。

トチの実を包んでいる、分厚い皮。
それが、見事に、あまりにも見事に、はがれているものが、
いくつも、いくつも、見うけられるではありませんか。
まるで誰かが、わざわざ、むきとったかのように・・・。
これは一体・・・?
それに、まだ真新しいものも少なくありません。
我々の目を盗んで、何者かが、近くに・・・?

しばらくその場にいて、謎が解けました。

バサッ、バササササッ・・・!
葉っぱをかきわける音とともに、トチの実が降ってきます。
そして、まさに目の前にボトッ!と落ちたその時、
分厚い皮がパッとはじけて、実がコロッと姿を現したのです。

散策していると、足裏からは柔らかさすら感じる、森の地面。
それも、トチの実の皮をはじけさせるには、十分の強さがあるようです。
それに、地面に落ちる時の音からは、トチの実って、
思う以上に重いんだ、ということを教わりました。

バサッ、バサバサ、ボトッ! バサバサ、コーン、バサ、ボトッ!
遠く、近く、あちらこちらに聞こえる
トチの実が落ちる音も愉快な、実りの秋の、奥大山の森です。

2013.10.17|サントリー天然水の森 奥大山


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