見出し画像

水の味が変わる!?「花崗岩」の成り立ちを探ってみた。Part 1

習慣ってすごいですよね。

このお仕事をさせてもらうようになって、無意識のうちに「サントリー 天然水」を買っているまでになりました。

そしてこの間、

あ。ついに出会えた。

そう思ったんですよ。

ちなみに、わたしが日常で飲んでいるのはこれ。

さて、なにがちがうでしょうか。
撮影場所?撮り方?ネイル?

「ずいぶんとネイルが目立つ写真だね」
なんて、わたしの森の師匠には言われてしまいましたが。

すみません、なりきれないインスタグラマー的な撮り方になってしまいましたが、ラベルを見てみてください。

はい。

「南アルプス」と「北アルプス」という文字。

これは、それぞれの水のふるさとを示しています。

サントリー天然水には4種類あって、「南アルプス」「奥大山」「阿蘇」「北アルプス」。それぞれ水源ごとにわけて、売られています。

興味本位で「北アルプス」と「南アルプス」を飲み比べてみましたが、ん〜ちがう。たしかにちがうことはわかるのですが、正直、利き水はわたしには難しいレベル。

なにがちがうんだろうと思って、調べてみると。

北アルプスの水は、自然のろ過装置である花崗岩層かこうがんそう
の大地に磨かれた、やや甘さがあり清涼感がある味わい。一方、南アルプスの水は、同じく花崗岩層をくぐり抜けた、まろやかさとキレがある味わい。

なるほどね。うんうん。

って、わかるか!

素人のわたしには、飲み比べないとわからない程度のちょっとのちがいなのに、ラベルをわけて販売しているところ、サントリーのこだわりの強さを感じるのですが。。。

前にもお話ししましたが、雨水は、森のフカフカな土壌に受け止められ、汚れや雑菌などがキレイにろ過され、その後20年もの歳月をかけてゆっくりと地層の中を流れることで、岩のミネラルが溶け込んだ、おいしい天然水に育ちます。

その岩が持つ成分によって、水の味が左右されます。

そしてわたしの森の師匠曰く、この二つの山の地質は、同じ「花崗岩」というくくりではあるものの、成り立ちや成分が微妙にちがうらしい。

ちなみに花崗岩というのは、こんな感じの白っぽい岩のこと。

地球は全部鉄などの金属や岩(ざっくりしすぎ)で出来ているので、岩が存在することはわかるけれど、なんで岩にいろいろな種類があるんだろう。同じ花崗岩なのに成分がちがうってどうゆうことなんだろう。

北アルプスと南アルプスの花崗岩のでき方の原理はほぼ同じようなのですが、できた年代とそれぞれ山を形成するまでの歩みがまるで異なることが、成分のちがいをつくっているみたいです。

北アルプスの花崗岩は今から6000万年前に、南アルプスの花崗岩は1400万年前に、地下深くで生まれ、全く年代のちがう岩が今こうして日本を代表する山々を連ねているわけです。

不思議なことですよね。
今回は、2回に分けて花崗岩の成り立ち、そして北アルプスと南アルプスの成り立ちのちがいをお話ししていきたいと思います。
(初めての2回連載!)

花崗岩かこうがんって?

花崗岩というのは、マグマが地球の内部で冷えて固まったもの。
本来は地球の奥深くにいた岩が、なぜか地球の表面に現れ、それだけではなく3000m級の山々をつくる代表的な岩となっているのです。

その理由を知るには、まずは地球の仕組みを理解しないと、本当にちんぷんかんぷん(現にわたしがそうだった)なので、地球の誕生から地球の内部で起きていることについて話させてください。

原始の地球

急にとっても壮大な話になりますが、時は約46億年まえ。

宇宙に散りばめられていた小さな惑星たちが、衝突をくり返しながら、それらがくっついて、だんだん大きくなっていきます。そして地球の元ができるわけですが、そこにさらに微惑星たちはぶつかってくるわけですね。

そのエネルギーたるや。すさまじい。
地球の温度は数千度まで上昇してしまうんです。

そんな高温下では物質は大体融けることは想像できる。というわけで、地球はあっつあつのマグマに覆われました。(「マグマオーシャン」というらしい)

さてさて、地球の奥深くでも、別の物語が進行していました。

重力があるので、重いものは沈みますよね。

マグマにはさまざまな成分が含まれているのですが(酸素、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄・・・など)、マグマの中に含まれる鉄やニッケルは重たいので、内部に沈み込み、それよりも軽い岩石成分が表面に移動します。

やがて、誰もが授業で習ったであろう、「内核」「外核」「マントル」という層にわかれていきます。

こんな感じです。(「地殻」は後ほど出てきます。)
ただ、このイラストの地表はいまの地球で、当時はまだ、陸地も海もなかったみたいです。

冷えていく地球

ちなみに、地球の内核付近は6000℃と言われています。

こんな熱々ならば、内部はドロドロの液体だと思うかもしれませんが、実は個体です。

え、ですよね。

わたしもそれを聞いた時、実際に言いました。

どうやら考えられないくらいに高圧すぎると、物質は融けにくくなるらしく、融点がすさまじく高くなった内核は融けないみたいなんです。

一方外核は、内核よりも圧力がないためか、液体であるということが、地震波の伝わり方で推測されています。不思議ですね。

ちなみに、内核にある重たい鉄たちは外核に上がってくることはありません。明確にわかれています。

そして、外核のさらに外側、みなさんご存知。マントル。

こちら、なんと、固体です。

わたしは、どろっどろのマグマをイメージしていたのですが、固体らしいんです。

つまり地球は内側から、固体→液体→固体となっているわけですね。

ただ、やはりマントルは高温のため、大部分は変形しやすく、流動的。ゆっくりとなら壊れずに変形できるらしい。多分ですが、生チョコレートみたいな感じだと思っています。溶けてないけど、溶けているよーって。多分。

ただね、宇宙は冷たいですよね。
なので、宇宙に近いマントルの表層部分は、冷やされます。

その結果、マグマオーシャンがゆっくりと冷えていくと、マントルの上に硬い岩石の層(=地殻)ができ始めました。

(つまり、固体→液体→生チョコレート→固体ってことか。)

最初にできた地殻は、マントルの成分とほぼ同じ、「カンラン岩」という岩石です。

でも、この状態は長くは続きません。この岩は徐々に変化して行ってしまいます。

物質って冷えると重くなるという性質があり、冷えたカンラン岩は、マントルよりも重い。

地球には重力があります。重いものは下へ、軽いものは上へ、ですよね。なので、流動的なマントルの中に沈み込んでしまいます。

沈み込んだカンラン岩は、マントルの中で熱せられて、再び溶け始めます。

ただし、全部がいっぺんに溶けるわけではなく、低い温度でも溶けやすい成分から順番に溶けていきます。

具体的には、
溶けにくいマグネシウムが溶け残り、
カルシウムやアルミニウム、ケイ素などが溶け出して新しいマグマが生まれます。

そのマグマは、溶ける前のかんらん岩とは当然成分が異なりますよね。
これが、玄武岩げんぶがんです。

余談ですが、現在地上にある玄武岩は、冷えて固まる時に全体が縮まって割れるのですが、その時に六角形の柱状の黒い岩になります。六角形の形が亀の甲羅を思わせるので、亀の神様の「玄武」って名前がついたらしいです。そして、現在海の中に噴き出した玄武岩マグマは枕みたいにボコボコした形になるようで「枕状溶岩」と呼ぶらしいです。

ちなみに富士山も主に玄武岩でできていますが、穴だらけなので、六角柱は少ないみたい。

さて、カンラン岩から溶け残ったマグネシウムは重い金属なので、その成分が抜けた玄武岩マグマは、周囲のマントルよりもずっと軽くなります。

軽いものは浮き、重いものは沈みますよね。
というわけで、玄武岩マグマは、地球の表面に浮き上がり、地球の地殻は、徐々に玄武岩一色に進化していきます。

この時、地球の表面にもう一つ、大きな変化が起こります。
玄武岩質のマグマは、そこらじゅうで火山爆発を起こしたのですが、その際に、溶岩だけでなく水やCO2を多量に含んだ火山ガスも噴出させたのです。

その火山ガスは地球の表面を囲み、原始大気となります。

そして、さらに地球が冷えていくと、原始大気(水を含む)から、大量の雨が降り注ぎ始めます。その雨はかなり長い間降っていたようで、やがてその雨は、広大な海を生み出しました。

(現在の地球でも、海底の地殻はほぼすべて玄武岩です。)

花崗岩登場

この時期の地球には、陸地というものがほとんどありませんでした。玄武岩はほとんどすべて海の底にありました。

すると、玄武岩の中にも、徐々に水が浸みこんでいきます。

一方、地下のマントルは玄武岩がフタのようになっている下で、相変わらずものすごい高熱のまま、生チョコレートみたいにゆっくりと対流を続けています。

こんなふうに、あついあついマントルがゆっくりと上昇するような場所で、水を含んだ玄武岩が熱せられるとどうなるでしょうか?

―「水を含んだ」

ここが重要です。
水は鉱物の融点を下げる役割があるみたいなんです。

もしも、玄武岩が水を含んでいなかったなら、マントルの上で固まっている玄武岩が、同じ程度の温度では溶けません。

でも、海の底の玄武岩は、たっぷり水を含んでいます。
その結果、玄武岩の中の溶けやすい成分だけが溶け、溶けにくい成分が個体のまま残るという、カンラン岩の一部が溶けて玄武岩ができたのと同じような部分融解が、再び始まるのです。

今度の部分溶解でも、鉄などの重い成分が溶け残り、ケイ素やナトリウム、カリウムなどが多めに含まれる軽いマグマが生まれます。

そう、それこそが「花崗岩マグマ」なのです。

花崗岩マグマは、マグマの最終形。これよりも軽いマグマは存在しません。

ここでも、「軽いものは浮かぶ」という単純な理屈がくり返され、玄武岩地殻の上に溶岩として噴出したり、地下で固まった花崗岩も、ゆっくりと玄武岩の上に浮き上がってきます。

そしてこのように、かさぶたみたいに花崗岩の島が増えていきます。

軽い花崗岩。重いマントル。
氷が水に浮くみたいに、大陸がマントルにぷかっと浮いている状態というわけです。

太古の地球ではこんな風に花崗岩が誕生していました。


ただし、これは太古の地球の花崗岩のお話。
北アルプスと南アルプス(共に「サントリー天然水」の水源)の花崗岩は、それとはちょっと違うメカニズムで生まれたらしい。

そこには、地球の歴史を変えた、もうひとつの大きな力が加わっていました。

「プレート移動」です。

一度は聞いたことがあると思います。
学生であれば、絶対にテスト内でこの単語を記入させられるので山を張っておくべきやつですね。

次回は、このプレートの話から、ついに「サントリー 天然水」の水の味を変える、北アルプスと南アルプスの花崗岩のちがいをお話ししたいと思います。

マニアックすぎる内容になってきましたね(喜)
それでは、来週、お楽しみに!!

もしよかったら、ご紹介した「サントリー天然水 南アルプス・北アルプス」の故郷について紹介しているので、あわせてご覧ください!



みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!